自動車は大量の部品で構成されていますが、わたしが担当しているのは蓋(ふた)物と呼ばれる部品(ドア、ボンネット、トランクパネルなど)のヘミング(アウターパネルとインナーパネルを結合させるための折り曲げ加工法)工程の生産技術(生産準備)です。わたしの業務を二つに分けると、ひとつはヘミング加工の品質や精度を保証する業務、もうひとつがヘミング設備を生産ラインに導入する業務です。設備計画から導入まで携わっています。
ヘミング加工の品質や精度保証の業務では、加工した部品が設計通りのデザインと形状で生産されるように設備や工程の精度を高めていくことが求められます。最初から設計通りのものができるわけではありません。実際に加工したものをノギスなどの測定器を使って測り、0.1ミリ単位で調整する作業を繰り返して、品質や精度を向上させていくのです。
ヘミング設備の導入業務は、生産ラインに設備が導入されるまでのすべてのプロセスにかかわる責任ある仕事です。設備の仕様や生産ラインのレイアウト、導入日程などを検討することはもちろん、実際にその工程にかかわる各部署、さらには設備メーカーとの折衝も行います。
最も印象に残っているのは、入社1年目の時に初めて担当したヘミング設備が稼働し、量産が始まった時です。ヘミング加工も進化しており、このときの設備は新しいヘミング加工法を採用することになりました。初めての加工法、初めての担当部品ということで、何をすればよいのか、また何が良くて何が悪いのかもわからず、上司とお客さま関係者、仕入れ先の方々に助けてもらい、なんとか量産できるようになりました。ハードな日々だっただけに達成感も大きかったです。
入社して学んだことはコミュニケーションの大切さと、先を見据えて日程を検討することです。生産技術は、現場担当者はもちろん設備メーカーの方などいろいろな人とかかわります。クルマを市場に出す日は決まっているので、生産工程の経過やトラブルの報告などコミュニケーションは欠かせません。
生産技術に関心を持ったのは、大学で生産技術の授業を受けた時です。担当の教授の先生は、前職では完成車メーカーの生産技術エンジニアをされていました。その先生が語る生産技術の現場での体験話も興味を引くものでしたが、それに加え授業では実際に加工機を使って設計した金型をつくることも経験しました。設計通りに金型をつくる難しさを知り、生産技術に携わりたいと思ったのです。今では、やりたかった業務に携われて毎日が充実しています。現在はヘミング加工というプレス工程を担当していますが、その後の工程であるボデーの生産技術にもいつか携わりたいと考えています。そこで十分経験を積んだ後、上流から下流というクルマの生産ラインの一連の工程を一括受注するプロジェクトの中心メンバーになることを目標にしています。
クラブ活動が盛んなところです。クラブ活動に参加することで、普段の業務ではかかわることのないタマディックの社員の人とも仲良くなれます。わたしが所属している野球部は年齢層も幅広く、上司や先輩と楽しくコミュニケーションがとれます。活動は春先から11月までで、月2回リーグ戦が開催されています。野球部の所属人数は多いのですが、忙しい時期だと試合ができる9人ギリギリになることもあり、ドキドキしながら試合当日を迎えることもあります(笑)。
「携帯電話」「測定具」「日程表」携帯電話は、現場に行くことが多いため必需品です。タイムリーにメンバー間の連絡もでき、海外とのやりとりもスムーズにできます。測定具はノギスやダンチノギス、ボールゲージなど。品質・精度保証をするためには欠かせないツールです。日程表は、作成したら紙に出力して見える化し、調整しています。日々進捗が変わるため、日程管理は欠かせません。
車体設備の動きを
バーチャルで再現する
シミュレーションソフトの設計
ピックアップトラックの
荷台リアベッドの車体設計
次世代モーターの開発における
装置および治具を設計製作
自動車の塗装ラインの
新規設備の電気制御設計
および既存設備の改造
ボンネットやトランクパネル
などの自動車部品の
プレス工程生産技術