ハイブリッド(HV)車に搭載されるHVバッテリー(モーターを回転させ走行させるためのバッテリー)の筐体設計を担当しています。筐体とは電気機器や機械を収納している箱のことです。バッテリーは複数の電池モジュール(電池セルを複数つないだもの)で構成されており、それらをひとつの箱(筐体)に収めることで、モーターを動かすだけのパワーが得られるというわけです。わたしが設計しているのは、これから世に出るHVバッテリーのための筐体です。自動車メーカーは部品の小型・軽量化を図ることで燃費向上に取り組んでいますが、HVバッテリーも同様に小型・軽量化が図られており、しかも性能の効率化が進んでいます。より少ないスペースで電池の効率化を図るためには、熱を上手く逃がす工夫が欠かせません。筐体設計においても、いかに効率よく冷却させるかが重要になっています。
まずはバッテリーが目的の車種に搭載できるかどうかという検討を行い、CADを使って設計します。そして、その筐体が要求される仕様を満たしているかについて構造解析を行い、冷却機構の検討については流体解析などを行います。うまく搭載できるよう、シートやボデーを造っているメーカーの方と密に連携を取りながら、設計を進めていきます。
一番印象に残っているのは、入社して2カ月の集合研修が終わり、配属された部署でOJTによる研修期間中に携わった生産設備の設計製作の仕事です。お客さまに納める前の試験で、その設備が問題なく動作することが確認できたときは、本当にうれしかったですね。現在の業務で印象深い出来事は、実際に自分たちが設計した筐体がボデーに組み付けられる様子を見学できたことですね。
HVバッテリーの筐体を設計するうえで肝心なのは、自動車に関する法令で定められた条件やお客さまが設定する製品基準をすべて満たすような形状を検討しなければならないことです。それらの基準には、「車内で大量の水をこぼしても不具合が起きない設計」といった、現実にはなかなか起きそうにないことなども含まれています。あらゆる状況を想定して安全性や機能性を追求しているからこそ、日本の企業は高品質なものづくりを実現できていると改めて実感しました。また、この業務に就いた当初は「もっと良い形状があるのでは」「なぜこの形状なのだろうか」と疑問に思いましたが、法令や基準を満たすために現在のような形状になったという経緯も知ることができました。
今は搭載検討が主な業務ですが、いずれは板金や樹脂などの設計もできるようになりたいと考えています。その知識が加わると、より良い形状や構造の筐体設計が自分でもできるようになると思うからです。できることの幅を広げることで成長していきたいです。
弊社は自動車や航空・宇宙、精密機械やOA機器、半導体関連機器などのFA領域など、さまざまなものづくり企業のお客さまとお取り引きがあります。お客さまそれぞれに、ものづくりに対する文化や考え方があり、設計という仕事においてもやり方や求められる知識が異なります。そういった話を聞くだけでも刺激になりますし、知識を吸収できます。また、社内で交流を広げておくと、自分の担当以外のお客さまとの接点も増えます。わたしは自動車関連の業務をしていますが、航空・宇宙関係のお客さまが主催する駅伝大会でタマディックのチームメンバーとして出場させてもらったことがあり、とても楽しいひとときを過ごしました。
「金尺」現物の寸法を測定するのはもちろん、直線を引いたり、紙をカットしたりなどさまざまな用途で使っています。長さは150mmのものにこだわっています。携帯にも便利です。ペンなどの筆記用具よりも使用回数は多いかもしれません(笑)。
車体設備の動きを
バーチャルで再現する
シミュレーションソフトの設計
ピックアップトラックの
荷台リアベッドの車体設計
次世代モーターの開発における
装置および治具を設計製作
自動車の塗装ラインの
新規設備の電気制御設計
および既存設備の改造
ボンネットやトランクパネル
などの自動車部品の
プレス工程生産技術
ハイブリッド車に搭載する
バッテリーの筐体設計